一人で建てる木組みの家

東妻より
東妻より

「一人で建てる木組みの家」の建築中の様子です・

どんな家を建てるか

木の好きな私にとって、木以外の家は考えにはなかった。
木の持つ性質が、人間という動物が住むのに、最も良い環境を与えてくれると信じているからだ。
木の家でもいろいろある。
ハンドメイドハウスに向くのが、何といってもログハウスだろう。だが使う木材の量が意外に多いことと、木を横に積むのが日本の気候に向くのかどうか。
そして最も気になったのが、チェーンソーを使うのが怖かったこと等の理由で、ログハウスは私には、適わなかった。

次に、よく紹介されるのが、家族で建てたり、友人達と建てたりしたという、ツーバイフォー工法だ。アメリカのハンドメイドハウスは、ほとんどがこのツーバイフォーだと本で読んだことがある。材木の加工は複雑なカットはなく、釘で打ちつけていくだけ。材木の寸法や釘の規格を、基準に則って施工すれば大丈夫らしい。
だが、この家も日本の気候に向くかどうか。骨組のツーバイフォー材以外は、ほとんどが合板であるのが気にいらない。壁ができると、起こして組み立てるのだが、一人ではとうてい起こせない。必ず助っ人がいる。
”一人で建てる”には、向かない。これも私には、適わなかった。

残るは、木造軸組工法と言われる、昔からの普通の家の作り方だ。
昔と言っても、この軸組工法も長い歴史があって変遷している。
今は組手や継手部分に金物やボルトを使う工法になっているが、昔は木組みを木栓や楔で固定していた。
区分すると、前者を在来工法、後者を伝統工法と呼ぶそうだ。

木工を志す者としては、家作りも家具作りの延長線上にあると考えている。
家作りで、木工の楽しさを味わうには、伝統工法で木組みのおもしろさを堪能しよう。木と鉄は相性が悪いそうだし、金物を使わずに木だけで組めれば丈夫な家にもなるだろう。また粘りのある丈夫さということから、筋違いを用いずに厚い貫板を使う貫工法とした。

間取りは、夫婦二人が住むことを前提に、夫は一人で建てるのだから身の丈に合った小さな家で充分だと考えるのに、妻は、そんなことは関係なく大きな家を望んだ。夫婦でケンケンゴウゴウ、なかなかまとまらず、二十数案の間取り図ができてしまった。

二十数枚の設計案

結局、収納スペースとしてロフトを持つ20坪の家に決定した。
設計も施工もできるだけシンプルな様に、四間×五間の長方形、屋根は切妻とした。

1階平面図


矩計図